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米国Twitter初の海外新卒エンジニア・野口勝也氏が学んだ、「シンプルなプロダクト開発の極意」

2012/05/17公開

 

その日、東京・六本木にあるTwitter Japanのオフィスにわれわれを迎え入れてくれたのは、25歳のどこにでもいそうな青年だった。

「もともとサッカー選手になりたかったんですけど(笑)」と話すその青年とは、アメリカから一時帰国していた野口勝也氏(@kn)だ。オーストラリアのカーティン大学からメルボルン大学、英オックスフォード大学へと移り、学生時代にエンジニアとしてGoogleへインターン。そして2011年11月から、米国Twitter社のエンジニアとして活躍している。

「最終的には、世界一のTechカンパニーを興したい」と将来の展望を語る彼は、世界で戦うために必要なことの多くを、Twitter社で学んでいる。

なぜ、彼はGoogleではなく、Twitterを職場として選んだのだろうか。その背景には、Twitter独自のハッカー文化が大きくかかわっていた。

すごいコードほど、日常に流れていく

現在、同社の「国際化チーム」にて、翻訳センタープロジェクトのレピュテーションシステムを開発するエンジニアとして、ボランティアで翻訳をしてくれている約50万人の方向けに翻訳ツールなどを開発している野口氏。

Twitterは現在28カ国語に対応しているが、今後は100カ国語対応を目標にしている。野口氏は、「これから対応していく予定の言語は使う人の人口も少ないので、セルフサービスで翻訳していけるような環境にしていきたい」と話す。

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「コード読む比重が高い」というTwitterでは、キレイなコードが日々流れていくという

「僕が翻訳ツールの開発を担当しているように、Twitterではエンジニア個人が各プロジェクトを受け持っていて、分からないところがあれば周りのエンジニアに相談しながら開発を進めています。

仕事としては、コードを書くよりも人のコードを読むことの方が多いですね。『コードを書くよりも読むことが大切』というのは、周りの先輩方みんなが口癖のように言っています」

それを象徴するように、どのエンジニアが書くコードも、おしなべてきれいなのだという。

「すごいコードって、ホントに読みやすくてシンプル。なので、その一行に心を打たれると言うよりも、日常的に流れていくものだったりするんですよね」

ユーザーオリエンテッドな開発で、シンプルなサービスへ

米Twitterへ入社してまだ半年の野口氏だが、この短い期間の中でも社内のハッカーたちから多くの学びを得ているという。

「Twitterの素晴らしいところは、起業家文化を大切にしているところ。例えば、一週間の間にエンジニアが自由な試みを行って、その成果を競い合う『Hack Week』というイベントが3カ月に一度開催されています。そこでは、毎回いくつかのテーマが掲げられて、そこからインスパイアされたアイデアから独自に開発し始めたり、アイデアに興味を持った人と一緒に開発したりしています」

Twitter Japanの会議室には、一部屋ずつ鳥の名前が付けられている。今回は、「@hiyodori」での取材だった。

Twitter Japanの会議室には、一部屋ずつ鳥の名前が付けられている。今回は、「@hiyodori」での取材だった

自分のアイデアをピッチし、デザイナー、エンジニアを含めたチーム作りをすることと、『Hack Week』で生まれたものをピックアップして今後のプロダクトマップに追加していくこと。この2つは、会社経営の戦略と似ているのだという。

彼自身、『Hack Week』では、ツイート内容を聞けるようにする『Tweet-to-Speech』という通勤時や障害者の方に便利そうなサービスや、グーグルカレンダーにランチスロットを入れるとランダムでTwitter社員同士のランチをセッティングしてくれるツールを開発。後者に関しては、今では社内ツールとして活用されているそうだ。

こういった柔軟性に加えて、野口氏はTwitterの「シンプルさの追求」について、インターンで経験したグーグルのカルチャーと比較しながら話してくれた。

「GoogleもTwitterも、技術とユーザーを大切にするという文化は似ています。ただ、重視する部分は違うと思いますね。これはあくまで僕の主観ですが、Googleには凄腕ハッカーも多く在籍し、『問題点をどんなふうに技術で解決するか』というテクノロジー的な視点が最も大切にされているという印象がありました。

一方で、Twitterは『その開発はユーザーにとってどんな意味があるか』という視点を最も重視しています。例えば、リンクの色を変えてみたり、使っている言葉を変えてみたり、ちょっと見ただけではあまり違いが分からないような変更をして、実験を繰り返す。こうした『ものすごく小さな変化』でも、アクティブ率が変わりますから」

確かに、ハッシュタグやメンションなど、Twitterにはユーザーの声から生まれた機能も多い。野口氏はその背景を、「もともと『ユーザーと一緒に成長しよう』という風土があるからかもしれません」と話す。ユーザーにとって、よりシンプルで使いやすいものを作ることが大切だと考えられているのだ。

「面白いことをとにかくやってみよう」というグーグルに対し、「ユーザーのメトリックから、やるべきこと・やるべきでないことを決める」というのがTwitter。起業を視野に入れる野口氏にとっては、Twitterの「ユーザーを意識したシンプルなサービス設計」から学ぶところは多いという。

要望に応える二流、要望の本質に迫る一流

大学院を修了後、Twitterにストレートインした野口氏だが、最近はエンジニア採用の面接官を任されることも増えたという。その経験から、「優れたエンジニア」の共通点も見えてきたと話す。

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「リクエストは問題の枝葉の部分でしかなく、本質に迫ればシンプルな解決策にたどり着く」と話す野口氏

「応募してこられる方は、皆さんやはり文句なしに技術力が高い。その中でも、僕がとりわけ優秀だなぁと感じるエンジニアの方々は、みんなコミュニケーション能力が高いんです。

例えば、一般的なエンジニアならユーザーやサポートスタッフからの声をそのままプロダクトに反映するのに対し、優れたエンジニアはリクエストの裏側にある本質的な問題を見つけ、解決策を提案できる。

全員のリクエストをすべて入れてしまうと、プロダクトは複雑になります。でも、たくさんのリクエストを突き詰めていくと、実はすごくシンプルなものに行き着いたりしますからね」

野口氏は続けて、「最近の電化製品ってすごい複雑なモノが多かったじゃないですか。それも、ユーザーの声をできるだけ多く反映させてきたからじゃないか」とも話す。彼のこの視点も、もしかすると、シンプルさを追求したプロダクトを作っているTwitterだからこそ身に付けられたのかもしれない。

「まだ入社して約半年しか経っていませんし、学ぶべきところばかりです。なので、自分の将来の夢のためにも、Twitterのエンジニアとしてできるだけたくさんのことを学び、先に挙げたような良いハッカー文化を自分のDNAに浸透させたいですね」

シリコンバレーで自身のキャリアをスタートさせた野口氏に、「日本だから」、「アメリカだから」といったこだわりはない。国という境界線を超えて、世界をOne Worldとしてとらえているのだ。

「将来的には、国がどうこうというこだわりを持たず、自分がやりたいと思ったことに対して正直に行動し、世界で一番のTechカンパニーを作れたらいいなぁと思っています」

取材・文・撮影/小禄卓也(編集部)


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