[対談]ひがやすを×和田卓人×Yoshiori(2/3) ひが氏が新しいことにチャレンジし続ける理由と、「苦悩の2010年」
2012/01/27公開
ひが じゃあ和田さんにとっては、TDDを広めることが、自分にとっての「救い」にもなっているわけだね。
和田 そうかもしれませんね。もう一つ、僕の仕事の動機は「人々の仕事から苦しみを取り除きたい」という思いですね。人間にとって、時間は限られているじゃないですか。例えば、『ニコニコ動画』を観て楽しむためには、仕事をする時間を減らして可処分時間を増やさなきゃいけない。だから、システムを使う人がムダな作業を減らすための手伝いをしたいんです。
Yoshiori そういう意味では、オレもTDDに救われた一人ですよ。
和田 僕は性格的なモノなのか、楽しさを競い合うような華やかな仕事より、日々の暮らしに寄り添う縁の下の力持ちみたいな役割にやりがいを感じるタイプかもしれない。こういうことって、あまりほかでは話したことないですし、いざ打ち明けると恥ずかしいですね(笑)。
ひが でもそれが、和田さんがプログラマーの仕事を続けている原動力なわけでしょ? ホンネだよね、それって。
チャレンジし続けないと落ちぶれてしまう(ひが)
Yoshiori じゃあ、次はひがさんの番ですね。
ひが氏が一流プログラマーという地位を築けたのは、「現状維持」に対する恐怖感にあった
ひが 僕の場合、時間の変化につれてホンネが移り変わってきてるからなぁ(笑)。
―― では、ここ最近の「ホンネ」は何ですか?
ひが 人ってある程度うまくいくと、失敗を恐れて現状維持を図ろうとするじゃないですか。でも、現状維持ってかなり難しいことなんです。チャレンジし続けないとスキルは落ちてしまうから。
―― なるほど。
ひが スポーツとかで、一日練習を休むとそれを取り戻すのに何日もかかると言われるのと同じことです。チャレンジし続けないと、落ちぶれてしまう。「自分は十分よくやった。あとは守りに入れば良い」という気持ちを打ち破ってチャレンジを続けることが、今のホンネかな。
Yoshiori カッコイイなぁ、それ。
ひが 生意気なことを言わせてもらえば、僕は今のままでも、そこそこの成功は収めているんです。やりたいことができて、それなりの収入や、会社の中での地位もあって、素敵な妻もいる。要は、新しいことにあえて挑戦しなくても、十分に満たされている状況なわけ。でも、ここで守りに入るとダメなんですよ。堕落してしまう。成功した人が守りに入ると、短期間ならそれを維持できるけど、中長期ではダメになってしまうんです。今は、「オレはそうはなりたくない」って気持ちが強いかな。
和田・Yoshiori なるほど。
ひが 僕が手掛けた『Seaser2』って、2008年くらいからメンテナンスしかしてないんだよね。表向きには、「新機能の追加より、バグフィックスの方がユーザーの要望にかなっている」と発表しているんですが、ホンネの部分では別の理由もある。このまま『Seaser2』ばかりやっていると、「守り」に入っちゃうと思ったんだよ。
Yoshiori どういう意味ですか?
ひが 例えば、『Seaser2』より一歩進んだ『Seaser2.5』を作るとするじゃない。イケてるフレームワークや新しい開発手法を取り入れたり、新機能を追加したりするのは、簡単にできるんだよね。いったん成功したものを改善するのは、ほとんど失敗しないんです。でも、そうやって失敗しない環境でぬくぬくと開発していると、オレはダメになると感じたわけ。
和田 ひがさんらしい考え方ですね。
ひが 2009年ごろから『Slim3』の開発に取り組んだのも、当時はGoogle App Engineが一番とんがった技術分野だと思ったから。基本的には、いくつか選択肢があるなら、一番チャレンジできる道を選ぶようにしてる。
ソーシャルアプリブームで自分の存在価値を考え直した(ひが)
Yoshiori なんでそうやって自分を追い込めるんですか?
ひが 現状を維持するだけだと、ダメになってしまうという強迫観念があるから。さらに強く意識するようになったのは、「苦悩の2010年」があったからかな。
―― 何があったんですか?
ひが 平たく言えば、僕自身の存在価値が落ちていくという焦りを感じていました。当時は、『怪盗ロワイヤル』みたいなソーシャルゲームアプリが台頭してきた時期。エンタープライズ市場も変化して、自分の価値がなくなってしまうという危機感をひしひしと感じていたんです。「オレは何をやればいいんだ?」と悩み、あがいて、自分探しの旅に出たんですよ。
―― 以前、別の対談で出た「『ブラウザ三国志』をずっとやっていた」というお話も、その一環だったわけですよね。
ひが そう。ソーシャルアプリ的な世界では、『Seaser2』には何の価値もない。つまり、オレは無力だったわけ。これからの時代も技術屋として生きていくためには、ソーシャルアプリを作る企業に入れば良いのか、Webサービスを作るべきなのか、まったく分からなかった。で、ともかくソーシャルアプリの企画開発を体験してみようと思ったわけです。
Yoshiori そうなんですか。
ひが もちろん、ゲームばっかりやっていたわけじゃなく、ビジネスの企画をいろいろ考えてもいたんですよ。でも、どれもイマイチだった。どうすれば良いアイデアが浮かぶかが、分からなかったんです。2010年は、先が見えず、とにかく不安な時期でした。そんな状況が大きく変わったのは、あるクリエイティブ集団から声をかけられたのがきっかけでした。
―― 今はその方々とのお仕事が中心だとおっしゃっていましたね。
ひが はい。彼らは、プロの企画者集団。その仕事ぶりを近くで見ていると、面白い企画を立てるポイントが学べるんですよ。逆に言えば、彼らの要望を実装するだけじゃ、自分自身を救えないと僕は思った。企画会議から参加して、彼らのやり方を学びつつ、自分も一緒に考えて意見を出すことで、自分の生きる道が見つかると思ったんです。
(3/3に続く)
>> (3/3)結局、デキるプログラマーたちの「仕事のモチベーション」って何?
<< (1/3)ところで、何で今もプログラマー続けてるのか、ホンネで話してみない?
<過去のひがやすを×和田卓人対談はコチラ>
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