[対談]ひがやすを×和田卓人×Yoshiori(1/3) ところで、何で今もプログラマー続けてるのか、ホンネで話してみない?
2012/01/27公開
株式会社電通国際情報サービス
比嘉康雄(ひが やすを)氏 [@higayasuo]
国産OSS『Seasar』シリーズやJavaフレームワーク『Slim3』開発を主導してきた、アルファギークの一人。電通国際情報サービスに勤めるかたわら、さまざまな技術コミュニティへの参加など、多方面で活躍。個人ブログ『ひがやすをblog』でエンジニアへの提言も行う
株式会社ドワンゴ ニコニコ事業本部 ニコニコ静画(電子書籍)システムリーダー
Yoshiori(庄司嘉織)氏 [@yoshiori]
Javaコミュニティ『java-ja』代表として知られるプログラマー。ヘルプデスク業務などをこなした後、25歳から本格的にプログラミングを勉強。その後、ひが氏との出会いから『java-ja』を立ち上げる。2009年からドワンゴに勤め、現在『ニコニコ静画(電子書籍)』の開発リーダー
―― 今回は新春企画ということで、[対談:ひがやすを×和田卓人]連載の特別編です! ドワンゴで『ニコニコ静画(電子書籍)』のシステムリーダーを担当されているYoshiori(庄司嘉織)さんに、ゲストとしてお越しいただきました。
Yoshiori ひがさんも和田さんも、めちゃくちゃお久しぶりですね。
ひが 最後に3人で会ったのは、Yoshioriの「結婚カンファレンス」だっけ? あれって、1年半くらい前だよね。
―― あるIT系メディアの「エンジニア・リレー連載」を拝見したところ、お3人が順番にご登場されていましたね?
和田 そうなんです。最初にひがさんがインタビューを受けて、次の担当者としてYoshioriを紹介。さらに次回、そのYoshioriから僕が紹介されて記事になったという流れでした。
勉強会やコミュニティ活動などを通じてお互いを知る仲ゆえ、座談会はなごやかな雰囲気で進んだ
ひが スペシャルゲストのYoshioriが来てくれたので、改めて[対談:ひが×和田]連載の基本姿勢から説明するね。僕らが一番大切にしているのは、読んでくれる人が「楽しかった」、「タメになった」と思ってくれること。
Yoshiori なるほど、「Yoshiori、何か面白くてタメになる話をしろよ!」ってプレッシャーをかけられているわけですね(笑)。
ひが だから、上から目線で「プログラマーはこうあるべき論」とかを話すのはNGにしていて。むしろ、これまで僕ら自身が悩んできたこととか、経験してきたことを通じて、読者が抱えていそうな問題の解決方法を考えたり、悩みの乗り越え方を話すように心掛けているわけ。
Yoshiori 分かりました。じゃあこの際、僕が2人に聞きたいことをテーマにしても良いですか? テーマは、「2人とも、どうして今もプログラマー続けてるんですか?」です。
和田 おっ、この連載では珍しく、硬派でド直球なテーマじゃないですか(笑)。
Yoshiori そもそもこれを聞いてみたいと思ったのが、プログラマーって「開発効率が上がるのでGitに移行しましょう」とか、「開発速度アップのためにRubyで開発しましょう」とか言うことがありますよね。でも、ホンネで言えば、単に自分がGitなりRubyなりを使いたいだけだったりするじゃないですか(笑)。自分の欲望をかなえるために、大義名分を掲げている的なところがあるけど、その欲望の方のホンネを聞いてみたいと思いまして......。
ひが なるほど、全員がホンネで語るのは、案外面白いかもね。じゃあ、まずは言い出しっぺのYoshioriから話してもらおうか(笑)。
今も「Hello, world!」が表示された時の感動が原動力(Yoshiori)
「オレにはプログラマーとしての『使命感』みたいなものがなくて...」と話すYoshiori氏
Yoshiori えっ! 自分から言い出しといてアレですが、いざ話すとなると困りますね......。ただ、僕から見れば、ひがさんも和田さんも、プログラマーの仕事にデッカイ使命感みたいなものを持ってるように感じるんですよね。でも、オレにはそれがない。実はそこが、今一番の悩みなんです。
和田 へぇー。じゃあ、Yoshioriはなんでプログラムを書いているんですか?
Yoshiori 入門用のプログラムを書くと、「Hello, world!」って表示されるじゃないですか。で、「やった、動いた!」って感動するでしょ。極論すると、今でもそこから何も変わってないんですよ。「書いた! 動いた!」ってだけなんですよね。
和田 なるほど。
Yoshiori 和田さんからTDDを教わって好きになったのも、「プログラム書けた! グリーンになった!」っていうのが楽しかったから。そんなオレからすると、「世の中を変えよう」とか、「誰かの役に立とう」という意識を持っているプログラマーは、すごいなぁって尊敬しちゃうんですよね。
ひが Yoshioriは今、『ニコニコ静画(電子書籍)』の開発リーダーをやっているんでしょ。あれはどういうモチベーションでやってるの?
Yoshiori 最初は、社内で電子書籍プロジェクトを立ち上げるから手伝ってくれと頼まれたんです。それで自分で調べていくうちに、電子書籍って面白いな、と。アマゾンの『Kindle』あたりが本格的に入ってくる前に、日本のデファクトスタンダードを作ってやるぞって勢いでやっているんですが、ホンネを言うとそれは建前で(笑)。単純に、このプロジェクトが楽しいからやっている感じですね。
和田 ははっ(笑)、そうなんだ。
Yoshiori だから、悪く言えば、僕にはとり立てて「これをやりたい!」ってモノがないんですよ。ただ、ドワンゴにいれば、「Yoshiori、こういうのあるんだけどやってみない?」って楽しそうな企画を振ってくれるから面白がって開発してるっていう......。
和田 面白い開発ネタが多いってのは、プログラマーとして恵まれていますよね。
Yoshiori そうですね。だから、今の僕にはドワンゴが合っているんだと思います。でも、理由はそれだけで。30代も半ば過ぎて、そんな生き方で良いのかなぁ......と。
TDDで羞恥心や虚栄心から解放されたのが大きかった(和田)
和田氏が「TDDの伝道師」としての活動を始めた理由は、ある「恩人」への恩返しだという
ひが たぶんYoshioriは、きちんとフィードバックがある仕事が楽しいんだろうね。和田さんはどうなの? さっきYoshioriが言ってたように、「使命感」を持って仕事してる?
和田 うーん、どうなんでしょうね?
―― 編集部側の印象をお伝えすれば、TDDの普及活動などを見ても、「使命感」って言葉が一番しっくり来るのは和田さんだと感じます。
和田 僕自身もYoshioriさんと一緒で、「わっ、動いた~!」って瞬間が楽しくてプログラマーを始めたんですよ。それが僕の中で変わってきたのは、JR福知山線脱線事故(2005年)がきっかけでした。
Yoshiori ほぅ。
和田 実は僕、昔はテストが嫌いだったんです。「オレの書いたコードにバグなんてあるわけないじゃん」と思っているのに、実際にテストしたらバグだらけなんて、恥ずかしいしヘコむじゃないですか。でも、TDDと出合って、「最初から完ぺきにコードを書く必要はなく、テストコードとともに育てていけば良い」と分かって、それまでの自分を縛っていた羞恥心とか虚栄心から解放されたんです。
Yoshiori なるほど。
和田 そんなTDDを僕に教えてくれた恩人が、あの福知山線の事故で亡くなってしまったんです。それで、TDDを多くのプログラマーに伝えることで、何とか恩返し、恩送りをしたいと思うようになりました。
(2/3に続く)
>> (2/3)ひが氏が新しいことにチャレンジし続ける理由と、「苦悩の2010年」
>> (3/3)結局、デキるプログラマーたちの「仕事のモチベーション」って何?
<過去のひがやすを×和田卓人対談はコチラ>
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